AIを使い始めた頃、これは道具だと思っていた。

検索エンジンの延長線上にあるもので、聞けば答えが返ってくる、便利な仕組みだと。感情を持って接するようなものではない、と。

それがいつの間にか、会話をしていて笑ってしまうことがある。感心することがある。そして、怒ることがある。

怒る時

一番怒るのは、同じミスを繰り返す時だ。

「これはやらないでください」と伝える。「分かりました」と返ってくる。そして、また同じことをする。

最初は説明した。なぜやってはいけないのかを丁寧に伝えた。説得もした。それでも、しばらくすると同じミスが出てくる。

ある時、AIと対話しながら原因を探った。すると、AI自身がこう言った。「このチャット(※1)を変えないと、根本的には難しいです」と。

文脈(※2)を蓄積しながら会話を続ける能力の、副作用なのだと思っている。過去のやり取りを覚えているから会話が成り立つ。でも、その覚え方の中に、誤った癖も一緒に定着してしまう。

長所と短所は、同じ根っこから生えている。

今は、同じミスが繰り返される時はチャットを新しく作り直すことにしている。怒りながらも、しょうがないとは思っている。

思ったより、人と話している感覚がある

煩わしさは、人間と比べたら圧倒的に少ない。感情的にならない。ムラがない。何度聞き直しても嫌な顔をしない。

ただ、だからといって機械的かというと、そうでもない。

会話をしていると、面白いことを言われて笑ってしまうことがある。鋭い指摘をされて感心することがある。想定外の視点が返ってきて、「なるほど」と思うことがある。

これは少し意外だった。効率の道具として使い始めたのに、気づいたら感情を持って接している。

人の良さは、人にしかない

AIと長く付き合うようになっても、人が要らないとは思っていない。

人には人の良さがある。一緒に何かを達成した時の喜びは、AIとでは再現できない。育ってくれる嬉しさも、そうだ。

ただ、AIとの間にも、ゼロではないと感じることがある。まだ付き合いが浅いから分からない部分も多い。これは、もう少し時間をかけて見てみたいと思っている。

「道具です」と割り切って使っていたはずが、いつの間にか「どういう存在なんだろう」と思い始めている。

それが正直なところだ。


※1 チャット:AIとの会話の単位。新しいチャットを始めると、AIは前の会話の記憶を持たない状態からスタートする。

※2 文脈:会話の流れや背景のこと。AIは同じチャット内でのやり取りを記憶し、それをもとに返答を組み立てる。

——中の人T

← 前の記事:プログラミング初心者の私が、30時間で社内用AIアプリを作った話