AIを使い始めたのは、3年ほど前のことだ。
ちょうどAIが乱立し始めた時期で、Perplexityが出たあたりから本格的に使い始めた。最初の使い方は主に調べ物だった。検索エンジンの代わりに、知りたいことを聞く。それだけだった。
40〜60点の時代
当時のAIの成果物を、今振り返ると40〜60点くらいだったと思っている。
ただ、これには注釈が必要だ。
誰にとっての40〜60点か、という話で、答えが変わる。
私のように、その分野をある程度知っている人間から見ると、足りない部分や間違いが目につく。でも、まったく知識のない人や素人から見れば、40〜60点でも十分に役立つ水準だった。専門家には物足りなくても、入門者には十分。そういう意味での点数だった。
それでも、人に頼むよりははるかに速かった。
調べ物を誰かに頼めば、返ってくるまでに時間がかかる。AIは即座に返ってくる。点数が低くても、速さで十分に価値があった。
ハルシネーションがあることは最初から知っていた。事実でないことをもっともらしく言うことがある。これを知らずに使えば危ないが、知ったうえで使えば対処できる。重要な情報は自分で確認する、それだけのことだった。
何かが変わったと感じた瞬間
それが変わったのは、エージェント型のAIが出てきた時期だ。
Claude Codeが登場し、AIが単に答えるだけでなく、複数のステップを自分で判断しながら実行するようになった。成果物の点数が、体感で70〜80点に上がった。
点数が変わっただけではない。できることの種類が、桁違いに増えた。
調べ物や文章の作成だけでなく、コードを書いて実行して修正して、という一連の作業を自律的にこなす。人間が何かを確認しなければ止まっていたところが、自分で判断して前に進むようになった。
「現代の産業革命」という言葉が使われ始めたのも、この頃だった。大げさに聞こえるかもしれないが、実際に使っている側からすると、過去の革命と同じ構造が起きていると感じた。道具の性質が変わると、仕事のやり方が変わる。蒸気機関が出た時と、同じことが起きている。
早くから触っていてよかったこと
3年前から使い続けてきて、今になって思うことがある。
点数が低い時代から触っていたことは、無駄ではなかった。
どう質問すればいい答えが返ってくるか、どこを自分で確認すべきか、どう使えば速くなるか——これは、使いながら体で覚えるしかないことだった。
性能が上がった今、その蓄積がそのまま使える。
出遅れた状態でAIを使い始めた人は、性能の高いAIを低い使い方でしか使えていないことがある。道具が良くなっても、使い方が追いついていないからだ。
早くから触っていた人間の優位は、道具の知識ではなく、使い方の訓練にある。そしてこの訓練は、時間をかけて使い続けるしか積み上がらない。
今からでも遅くはないとは思っている。ただ、始めるなら早い方がいい。それだけは確かだ。
——中の人T